Computational Biology
酵素のクラスター化は代謝チャネリングによって中間体の処理を加速する
Nature Biotechnology 32, 10 doi: 10.1038/nbt.3018
本論文では、複数の酵素を共クラスター化したコンパクトな凝集体が中間体の処理を加速し、直接チャネリングと同じ効率上の利益をもたらすことを示す定量的モデルを紹介する。直接チャネリングはよく知られたメカニズムで、中間体が物理的なトンネルを通って酵素の活性部位の間をわたる。今回のモデルでは、代謝効率を最大化する共クラスターの距離間隔および大きさが予測され、その予測は、過去に報告された哺乳動物細胞の共クラスターの間隔と一致していた。我々は、直接的な検証のために大腸菌の代謝分岐点を調べ、1か所の分岐点で共有されている中間体の処理を酵素凝集体が加速することによって定常状態の流れの分割が調節されるというモデルの予測を実験で確認した。この研究は、共クラスター化による代謝チャネリングを理解し、効率改善と代謝調節の双方に対する代謝チャネリングの応用法を明らかにする定量的枠組みを確立するものである。