Computational Biology
筋萎縮性側索硬化症の進行を予測するための臨床試験データのクラウドソース型解析
Nature Biotechnology 33, 1 doi: 10.1038/nbt.3051
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は致死性の神経変性疾患であり、その臨床症状は極めて多様である。そのため診断および効果的な治療が困難であり、疾患の進行を推測する優れたツールが必要となっている。本論文では、DREAM-Phil Bowen ALS Prediction Prize4Lifeチャレンジの結果を紹介する。このクラウドソーシングコンペティションの参加者は、標準化および匿名化した第II/III相臨床試験のALS患者1822例に関して疾患の進行を予測するアルゴリズムを開発した。最も優れた2つのアルゴリズムは、コンペティションの主催者が設計した方法およびALS臨床医の予測よりも優れていた。優勝した2つのアルゴリズムを将来の臨床試験計画に用いれば、試験に必要な患者数を20%以上削減することが可能と推測される。このコンペティションでは、尿酸、クレアチニン、さらには意外なことに血圧などが疾患進行の潜在的な非標準的予測因子であることが分かり、ALSの病理生物学的性質が明らかにされた。この解析から、臨床試験データを用いるクラウドソーシングコンペティションによってALSの研究開発が促進される可能性が示された。