Computational Biology
臨床転帰と相関するT細胞サブセットのCOMPASSによる同定
Nature Biotechnology 33, 6 doi: 10.1038/nbt.3187
フローサイトメトリーなどの単一細胞技術の進歩により、個々の細胞の高次元なハイスループット測定および細胞集団の不均質性の評価が可能になった。しかし、多くの場合、そうした技術で得られた大量のデータを分析する電算ツールが存在しない。本論文では、抗原特異的なT細胞サブセットのコンビナトリアル多機能性分析(COMPASS)を偏りなく行うための電算的枠組みを紹介する。COMPASSはベイズの階層的枠組みを用い、観察された全ての細胞サブセットをモデル化して、抗原特異的な反応を示す可能性が最も高いものを選択する。細胞サブセットの反応は事後確率によって定量され、被験者レベルの反応は、個人の多機能的反応の質を表し臨床転帰と直接相関させることができる2種類の要約統計量によって定量される。我々は、サイトカイン産生に関する3通りの臨床データセットを用いることで、抗原特異的T細胞の特性評価がCOMPASSによってどのように改善されるのかを示し、RV144 HIVワクチンの有効性試験では他の方法で見過ごされていた細胞の「防御と免疫の相関」を明らかにした。COMPASSはオープンソース・ソフトウェアとして利用可能である。