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DNAバーコードで標識されたペプチド・MHC-I多量体による抗原特異的T細胞の大規模検出

Nature Biotechnology 34, 10 doi: 10.1038/nbt.3662

免疫関連疾患の理解および治療のためには、個々のT細胞によって認識されるペプチドを明らかにすることが重要である。サイトメトリーに基づく従来の方法で同時スクリーニングされるT細胞特異性は、1検体につき10~100種類に限られる。今回、個別のDNAバーコードで標識されたペプチド・主要組織適合遺伝子複合体(MHC)多量体を使用して、1検体あたり1000種類を超えるペプチド特異性のスクリーニングを行い、ウイルスまたはがんに特有の抗原に特異的な低頻度のCD8 T細胞を検出した。黒色腫患者の養子細胞療法の前後でT細胞による共有黒色腫抗原の認識を解析したところ、サイトメトリーに基づく方法を上回る数の黒色腫特異的T細胞集団が認められた。さらに、非小細胞肺がん患者の腫瘍浸潤リンパ球および末梢血中には、ネオエピトープ特異的なT細胞が検出された。バーコードで標識されたpMHC多量体は、少量の臨床検体などで、さまざまな疾患のT細胞認識を評価するために、機能的T細胞解析を大規模エピトープ認識プロファイリングと組み合わせることを可能とする。

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