微生物群集内の細菌の複製速度の測定

培養に依存しないマイクロバイオーム研究は、微生物群集の複雑性および代謝的潜在能力に関する理解を進展させた。しかし、マイクロバイオームを構成する個々の微生物による群集の機能への寄与を理解するには、どの細菌が活発に複製を行っているのかを明らかにすることが重要である。我々は、概要精度のゲノム塩基配列および単一時点のメタゲノム塩基配列解読を利用して微生物集団の複製速度を推測するiRepというアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは、単一の複製起点からの二方向のゲノム複製から得られる塩基配列解読カバー率の傾向に基づいて複製指数（iRep）を算出する。我々はこの方法を用いて、抗生物質を投与したヒト乳児で微生物の複製速度が上昇することを示した。また、地下水に存在する未培養のCandidate Phyla Radiation細菌が、地球化学的に大きな変化を受けている表層下群集の中でごくまれにしか高速複製しないことも分かった。この方法は、ゲノムが明らかにされているあらゆるマイクロバイオームの研究に応用して、多様な条件に対する微生物の反応の追跡、活発に増殖する集団の特定、およびモデル化研究用の複製速度の測定を行うことができる。