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調節異常のタンパク質結合ネットワークをハイスループットプロテオミクスで検出してがんの脆弱性を予測する
Nature Biotechnology 35, 10 doi: 10.1038/nbt.3955
タンパク質複合体の形成および細胞内タンパク質濃度の共調節は、細胞のシグナル伝達およびホメオスタシスの維持に不可欠な仕組みである。今回我々は、アイソバリック標識による多重プロテオミクスを用いてタンパク質の共調節を解析し、これによってタンパク質間結合が高精度で発見されることを明らかにした。この「ハイスループット定量プロテオーム解析によるインタラクトームマッピング(IMAHP)」法を41系統の乳がん細胞株に用いたところ、特定細胞株で観察されるタンパク質共調節の共通ネットワークからの逸脱が細胞の適応度に影響を及ぼすことが示された。さらに、そうした異常な相互作用は、全195種類の薬物のスクリーニングで細胞株の薬物感受性を予測するバイオマーカーとして用いることができた。IMAHPは、タンパク質間結合の状況変化が生体系の表現型に与える影響に関する洞察を得るために広く利用可能と考えられる。