Review
遺伝子組換え作物に対する昆虫の耐性の急増と持続可能性の見通し
Nature Biotechnology 35, 10 doi: 10.1038/nbt.3974
遺伝子組換え作物は害虫防除に大変革を起こしたが、その有効性は害虫の耐性進化によって低下してきた。我々は、遺伝子組換え作物の最初の20年間に報告された世界のモニタリングデータを分析した。各事例は、Bacillus thuringiensis(Bt)由来の1つの殺虫タンパク質に対する1国の1害虫種の反応である。遺伝子組換え作物が産生するBt結晶(Cry)タンパク質に対する害虫耐性の事例は、2005年の3件から2016年には16件に増加した。対照的に、その他の17事例では、Bt植物性殺虫タンパク質(Vip)を産生する最近導入された遺伝子組換えトウモロコシなど、Bt作物に対する害虫の感受性が低下していなかった。感受性の持続には害虫の耐性の潜性(劣性)遺伝が有利に働いているが、潜性遺伝でなくとも、非Bt宿主植物の十分な緩衝帯は耐性を大幅に遅延させている。こうした知見は、耐性管理戦略に有用な情報となり、現在および将来の遺伝子組換え作物の寿命を延長させると考えられる。