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メタゲノム研究におけるヒト糞便試料処理の標準化に向けて
Nature Biotechnology 35, 11 doi: 10.1038/nbt.3960
微生物相によるヒトの健康への寄与を確実に評価するには、メタゲノム解析の技術的な変動を最小にしなければならない。本研究では、同一糞便試料で21種類の代表的なDNA抽出法を試験し、観察される微生物群集組成の差を定量化した。我々は、それをライブラリーの調製法および試料の保存法による差と比較し、同一試料内または個人の時間経過で観察される生物学的変動と対比させた。その結果、メタゲノム解析の結果にはDNA抽出が最も強く影響することが明らかになった。DNA抽出法のランク付けを行うために、得られるDNAの量および質を検討し、群集の多様性の推定結果およびグラム陽性菌とグラム陰性菌の比率の偏りを確認した。我々は、研究室間の移転可能性が確立され、さらに既知組成のモック群集でベンチマーキングが行われた標準化ヒト糞便試料DNA抽出法を推奨する。この方法を採用することで、ヒトマイクロバイオーム研究は比較が容易になり、メタ解析が促進されると考えられる。