Letter
in vivoでの新生プロテオームの細胞型特異的代謝標識
Nature Biotechnology 35, 12 doi: 10.1038/nbt.4016
タンパク質標識法の進歩によって混合細胞集団のプロテオームを評価することが可能になったが、細胞型特異的プロテオームのin vivoでの分離は実現されていない。これは、既存のin vivoの代謝タンパク質標識法が全ての細胞型に作用してしまうためである。今回我々は、変異メチオニルtRNA合成酵素(L274G)のCreリコンビナーゼ誘発性発現が非標準的アミノ酸およびクリックケミストリーによって新生タンパク質の細胞型特異的標識を可能にするトランスジェニックマウス系統を開発した。このトランスジェニックマウスを用いて、免疫ブロット法、画像法、および質量分析法により、興奮性主ニューロンおよびプルキンエニューロンのタンパク質が、in vitro(脳切片)およびin vivoで標識および分析された。マウスを感覚刺激が多い環境に置くことにより、海馬の興奮性ニューロンで差次的に調節されるタンパク質が200種類以上発見された。この方法を用いると、健常および病変組織の細胞型特異的プロテオームおよびその動態が分離、分析、および定量化される。