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対をなす遺伝子相互作用のCRISPRスクリーニングで発見されるがんに対する相乗作用的な薬剤の組み合わせ
Nature Biotechnology 35, 5 doi: 10.1038/nbt.3834
効果的な併用療法の発見は、薬剤耐性がんの出現への対処に極めて重要であるが、薬剤のあらゆる可能な組み合わせを直接スクリーニングすることはできない。本論文では、ペアのシングルガイドRNA(sgRNA)のライブラリーのクローニングおよび配列解読を行う効果的な戦略を利用してコンビナトリアルな遺伝子スクリーニングの効率を高めるCRISPRダブルノックアウト(CDKO)システム、ならびにCRISPRによって欠失させた遺伝子ペアから遺伝子相互作用(GI)を計算する強力な統計的スコアリング法を紹介する。我々はCDKOを応用して、K562白血病細胞の2万1321対の薬剤標的に対する49万個のダブルsgRNAによって構成された大規模なヒトGIマップを作成し、対応する薬剤が相乗作用的な細胞殺滅を示す合成致死性の薬剤標的ペアを発見した。そのなかには、イマチニブ耐性細胞にも有効なBCL2L1とMCL1の組み合わせが含まれていた。我々はさらに、リシン毒性の変更遺伝子同士の既知および未知のGIを明らかにすることで、このシステムの検証を行った。本研究は、相乗作用する薬剤の組み合わせをハイスループットでスクリーニングする効果的な戦略、および機能的なGIネットワークを分析するCRISPRツールを提供する。
スタンフォード大学(米)、K Han et al.