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CRISPR–Cas9エピゲノム編集はヒトゲノムの機能性調節エレメントのハイスループットスクリーニングを可能にする
Nature Biotechnology 35, 6 doi: 10.1038/nbt.3853
大規模なゲノムマッピングコンソーシアムおよび何千件もの全ゲノム関連解析により、ゲノム中のタンパク質非コードエレメントが、さまざまな生物学的過程で中心的役割を担うものとして発見されてきた。そうした研究では、調節エレメントと推定されるものが何百万個も発見されているが、その機能を解読することは依然として困難である。CRISPR–Cas9に基づくエピゲノム編集技術により、特定の調節エレメントの活性を正確に変化させることが可能となっている。今回我々は、天然のゲノム環境で調節エレメント活性の高度なハイスループットスクリーニングを行うCERES(CRISPR–Cas9-based epigenomic regulatory element screening;CRISPR–Cas9に基づくエピゲノム調節エレメントスクリーニング)を紹介する。dCas9KRABリプレッサーおよびdCas9p300アクチベーターの構築物ならびに目的遺伝子周囲のDNアーゼI高感受性部位を標的とするレンチウイルスのシングルガイドRNAライブラリーを用いて、機能喪失および機能獲得の両スクリーニングを行い、ヒト細胞のβ-グロビンおよびHER2座位の調節エレメントを特定した。CERESでは既知および未発見の調節エレメントが容易に特定され、その中には細胞型または変化の方向に依存するものもあった。この技術を用いれば、天然の染色体環境の中で、調節エレメントと推定されるものの機能アノテーションをハイスループットで行うことができる。