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Nannochloropsis gaditanaの脂質生産量は単一の転写調節因子の発現低下で倍増する
Nature Biotechnology 35, 7 doi: 10.1038/nbt.3865
産業用微細藻類Nannochloropsis gaditanaの脂質生産量はモデル藻類種を上回り、バッチ培養では栄養飢餓によって最大化させることができる。しかし、飢餓は増殖を停止させ、生産性を低下させる。バイオマスを蓄積して脂質を過剰生産することができるN. gaditana株を作製する取り組みは、これまでほとんど成果が挙がっていない。我々は、窒素欠乏中のN. gaditanaのRNA-seq解析を行うことにより、脂質生産の負の調節因子と推定される転写因子を20個発見した。CRISPR–Cas9逆遺伝学パイプラインを用いることにより、この20個の転写因子のうち18個に挿入変異を導入することができた。真菌のZn(II)2Cys6をコードする遺伝子のホモログをノックアウトすると、栄養豊富な条件下で、全炭素の脂質への分配率が20%(野生型)から40~55%(変異体)へ向上した。ノックアウト変異体は増殖が十分ではなかったが、Zn(II)2Cys6発現量の減少は、半連続的な増殖条件下で野生型(約2.5 g m−2 d−1)の2倍の脂質を生産する株をもたらし(約5.0 g m−2 d−1)、増殖にはほとんど影響がなかった。