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自然に存在する遺伝的多様性を利用する多重液滴単一細胞RNA塩基配列解読法

Nature Biotechnology 36, 1 doi: 10.1038/nbt.4042

液滴単一細胞RNA塩基配列解読法(dscRNA-seq)は、トランスクリプトームの迅速な超並列プロファイリングを可能にした。しかし、非効率的なサンプル処理および技術的なバッチ効果のため、複数個人間の発現の差異を評価することは困難である。本論文では、demuxletというコンピューターツールを紹介する。これは、自然に存在する遺伝的多様性を利用して、単一細胞を含む液滴(シングレット)の1つ1つに関してその試料が誰のものであるかを明らかにし、2細胞を含む液滴(ダブレット)を検出するツールである。この能力により、非血縁者の細胞がプールされ標準的なワークフローを上回るスループットでそれを捕捉する多重dscRNA-seq実験が可能となる。シミュレーションデータを利用することにより、1細胞当たり50個の一塩基多型(SNP)があれば、最大64人のプールでシングレットの97%が割り当てられ、ダブレットの92%が識別されることが示された。プール試料8点それぞれの遺伝子型判定データから、demuxletは、シングレットの99%超でその試料が誰のものであるかを正しく特定し、先行の推定と一致する比率でダブレットを識別した。我々はdemuxletを用いて、インターフェロン(IFN)β処理を行ったループス患者8例のプール試料に関して細胞型特異的な遺伝子発現変化を評価し、プール試料23点のeQTL解析を実施した。

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