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ブドウ球菌の病原性アイランドをCRISPRに基づく抗菌剤に変換してマウスの感染症を治癒させる

Nature Biotechnology 36, 10 doi: 10.1038/nbt.4203

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)をはじめとするブドウ球菌は、病院内や地域社会で命に関わる感染症を引き起こし続けている。抗生物質、特にβラクタム系およびアミノグリコシド系の薬剤に対する耐性はますます増しており、現在その感染症は多くの症例で治療不可能である。本論文では、可動性の高いブドウ球菌病原性アイランド(SaPI)の改変による、非抗生物質的、非ファージ的なブドウ球菌感染症治療法を紹介する。我々は、抗菌ドローン(ABD)を生じる抗菌カーゴでSaPIの毒素遺伝子を置換した。ABDは、寄主動物体内の感染細菌を標的としてそのカーゴを発現させ、細菌を殺傷または無力化することによって感染を制圧する。今回我々は、CRISPR–Cas9殺菌モジュールまたはCRISPR–dCas9毒性遮断モジュールのいずれかを有するABDを構築した。いずれのABDもマウス皮下での黄色ブドウ球菌膿瘍の形成を遮断することが明らかになり、殺菌モジュールは致死量の黄色ブドウ球菌を腹腔内に投入したマウスを救済できることが示された。

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