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doublesexを標的とするCRISPR–Cas9遺伝子ドライブによる飼育下のガンビエハマダラカ個体群の完全抑制
Nature Biotechnology 36, 11 doi: 10.1038/nbt.4245
ヒトマラリアを媒介するガンビエハマダラカでは、doublesex(Agdsx)遺伝子が、2つの性への分化を制御する2種類の選択的スプライシング転写物dsx-female(AgdsxF)およびdsx-male(AgdsxM)をコードしている。雌の転写物には、雄とは異なり、これまでに解析された全てのハマダラカで配列が高度に保存されているエキソン(エキソン5)が含まれている。機能性AgdsxFの形成を遮断するためにイントロン4とエキソン5の境界をCRISPR–Cas9で選択的に破壊したところ、雄の成長および稔性には影響しなかったのに対し、破壊されたアレルがホモ接合した雌は間性の表現型を示し、完全に不稔性であった。この配列を標的として構築したCRISPR–Cas9遺伝子ドライブは飼育下の蚊の間で迅速に伝播し、その保有率は7~11世代で100%となった一方、産卵数は徐々に減少して完全な個体群崩壊に至った。今回の屋内実験では、標的配列の機能的制約のため、遺伝子ドライブへの抵抗性を持つアレルの選択が全く生じなかった。標的部位には各世代でCas9抵抗性バリアントが生じたが、それによって遺伝子ドライブの伝播が妨げられることはなかった。