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組織とネットワークを組み合わせてヒトの疾患遺伝子を同定および検証する方法
Nature Biotechnology 36, 11 doi: 10.1038/nbt.4246
疾患の原因遺伝子を効果的に発見するには、量的遺伝学研究の統計学的な課題やヒト生物学実験の実践上の限界を克服しなければならない。今回我々は、diseaseQUESTという統合的な方法を開発した。これは、ヒト疾患の全ゲノム研究データをモデル生物の組織特異的および細胞型特異的機能のin silicoネットワークモデルと組み合わせて、機能的に保存された過程および経路に含まれる候補遺伝子の優先順位を決定するものである。我々は、diseaseQUESTを用いて、がん、長寿、神経変性疾患など25の疾患および形質の候補遺伝子を予測した。パーキンソン病(PD)に焦点を合わせることで、diseaseQUESTを使った線虫の一種Caenhorhabditis elegansの行動のスクリーニングによって複数の候補遺伝子が発見された。これらの遺伝子は、実験的に検証され、PDの臨床症状を反映する加齢依存的な運動障害に関連することが明らかになった。さらに、最上位の候補遺伝子で、分岐鎖アミノ酸トランスフェラーゼをコードするbcat-1をノックダウンすると、C. elegansに攣縮様の「湾曲」および神経変性が生じた。これは、PD患者脳内のBCAT1の発現低下に相当するものである。diseaseQUESTはモジュール式であり、他のモデル生物およびヒトの研究対象疾患への一般化が可能である。