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単一細胞アイソフォームRNA塩基配列解読法による小脳細胞数千個のアイソフォームの解析
Nature Biotechnology 36, 12 doi: 10.1038/nbt.4259
完全長RNA塩基配列解読法(RNA-Seq)は、組織塊、細胞株、および分取細胞のトランスクリプトーム解析に利用されているが、この技術を単一細胞に利用することは困難であり、これまでに解析された単一細胞トランスクリプトームは10例に満たない。単一のスプライシング事象は200個以下の単一細胞に関して統計的信頼性をもって示されているが、数百個の細胞の完全長mRNA解析は報告例がない。単一細胞のショートリード3′配列解読法は細胞サブタイプの特定を可能とするが、そうした細胞型の完全長mRNAアイソフォームのプロファイリングを行うことはできない。我々は、組織塊から開始して蛍光標示式細胞分取(FACS)法を用いずに単一細胞の種類およびその完全長mRNAアイソフォームを明らかにする方法を開発した。単一細胞アイソフォームRNA-Seq(ScISOr-Seq)により、ニューロンやアストロサイト、ミクログリア、さらにはプルキンエ細胞、顆粒細胞などの細胞サブタイプのRNAアイソフォーム、ならびに離れたスプライス部位の細胞型特異的な組み合わせのパターンが発見された。ScISOr-Seqを用いて、1万8173種類の既知アイソフォームおよび1万6872種類の新規アイソフォームの細胞型特異的な発現を明らかにすることにより、マウスのGencodeバージョン10のゲノムアノテーションが改善された。