Letter

野生トマトのゲノム編集による新規栽培化

Nature Biotechnology 36, 12 doi: 10.1038/nbt.4272

作物は、収量および生産性を求めて数千年にわたる育種が行われたことで、遺伝的多様性が低下した。結果として、病害抵抗性およびストレス耐性など、野生種の有益な形質が失われている。我々は、CRISPR–Cas9ゲノム工学によって農業上望ましい形質を野生系統の有用な形質と組み合わせる方策を考案した。本論文では、現在のトマト作物系統の収量と生産性に重要な6座位の編集によって、野生種Solanum pimpinellifoliumが新規に栽培化されたことを報告する。改変したS. pimpinellifoliumは、形態と共に果実のサイズ、数、および栄養価が変化した。改変系統は、親の野生種と比較して果実が3倍に大型化し、果実数が10倍に増加している。注目すべきことに、果実のリコピン蓄積量は、広く栽培されているトマト(S. lycopersicum)と比べて500%増加している。今回の結果は、野生植物の遺伝的多様性を利用する分子育種計画に道を開くものである。

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