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ペプチド–MHC複合体の認識を制御する相互作用がT細胞受容体のフィンガープリント法で詳細に解明される
Nature Biotechnology 36, 12 doi: 10.1038/nbt.4303
T細胞は、受容体(TCR)の特異性が低いために、多様な病原体を認識することができる一方、その認識の理解と制御が困難となっている。既存の方法では、T細胞による認識、および構造的に類似した要素を交差認識するTCRの能力の鍵となる要件に関して、限られた情報しか得られない。本論文では、TCRによるペプチド–主要組織適合複合体(MHC)の認識を制御する相互作用を見極める「ワンポット」法を紹介する。我々は、バーコード化されたペプチド–MHCバリアントのライブラリーに対するTCRの相対的親和性を測定し、その情報を用いて認識モチーフ(「TCRフィンガープリント」と命名)を明らかにした。16種類のTCRに関してフィンガープリントを発見し、それを用いてヒトプロテオームの交差認識ペプチドの予測および検証を行った。発見されたフィンガープリントは同一エピトープを認識するTCRの間で異なっており、この方法がT細胞の相互作用の理解、および臨床開発用のTCRの選択に先立つ潜在的交差認識の評価に有用であることが示された。