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遺伝子活性化とノックアウトの二重スクリーニングが遺伝子ネットワークの方向依存性を明らかにする
Nature Biotechnology 36, 2 doi: 10.1038/nbt.4062
遺伝子ネットワークが表現型に与える影響を明らかにするには、情報の流れの方向を把握することが重要である。しかし、遺伝子相互作用を発見する方法で方向依存性を明らかにすることは難しい。我々は、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に由来する2種類の独立したCas9タンパク質を組み合わせ、1細胞の中で1つの遺伝子を活性化させて別の遺伝子を欠失させる、二重スクリーニングを実施した。活性化とノックアウトの効果を定量的に分析し、各遺伝子ペアの遺伝子相互作用および方向性スコアを計算した。摂動を与えた10万組超の遺伝子ペアから得た結果に基づき、ヒトK562白血病細胞の方向依存性ネットワークを再構築し、この方法によって遺伝子相互作用の活性化の方向がどのように判定されるかを示した。この相互作用ネットワークは、これまで特性が不明であった遺伝子をよく研究された経路に結びつけ、治療介入に適した標的を明らかにする。