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バイオ燃料作物の糖放出と成長がペクチン生合成の下方制御によって改善される
Nature Biotechnology 36, 3 doi: 10.1038/nbt.4067
農作物および樹木の細胞壁に対し、バイオ燃料および汎用化学製品の生産を目的とする遺伝子操作が行われてきたが、組換えを行った品種は複数年の野外実験が失敗に終わることが多く、商業化には至っていない。我々は、スイッチグラスおよびポプラでペクチン生合成遺伝子(Galacturonosyltransferase 4、GAUT4)の発現量が減少するように遺伝子操作を行い、この操作によって、バイオマス収量およびバイオマス処理による糖放出量が増加することを明らかにした。両形質は、GAUT4をノックダウンしたスイッチグラスの3年間の野外実験で維持され、対照植物と比較して、糖化およびエタノール生産量が最大7倍、バイオマス収量が6倍に増加した。GAUT4は、ホモガラクツロナン(HG)を合成するα-1,4-ガラクツロノシルトランスフェラーゼであることが分かった。GAUT4の下方制御はHGおよびラムノガラクツロナンII(RGII)を減少させ、細胞壁のカルシウムおよびホウ素を減少させて、細胞壁糖質の抽出率を向上させる。バイオマス処理の難度低下および成長の増進は、細胞壁中のHGとRGIIとの架橋結合が減少したためと考えられる。