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Hungate1000コレクションに由来するルーメンマイクロバイオーム構成微生物の培養および塩基配列解読
Nature Biotechnology 36, 4 doi: 10.1038/nbt.4110
反芻家畜の生産性は、消化されにくい植物性多糖類を発酵させて家畜の成長に必要な栄養素へと転換するルーメン微生物相の機能に左右される。ルーメン微生物相の機能を理解することは、反芻家畜から発生する温室効果ガスの削減や、リグノセルロースからバイオ燃料を生産する技術の開発に重要である。本論文では、培養細菌およびアーキア410種を、全ての培養ルーメン由来アーキアおよび細菌科を代表する参照ゲノムと共に紹介する。多糖類の分解、短鎖脂肪酸の産生、およびメタン産生経路について検討し、個々の分類群の機能を推定した。計336種の微生物が現在利用可能なルーメンメタゲノムのデータセットに含まれており、134種がヒト腸内マイクロバイオームのデータセットに含まれていた。ヒトマイクロバイオームと比較した結果、ルーメンでは、ビタミンB12のde novo合成をコードする遺伝子群が特異的かつ豊富に存在していること、遺伝子の消失による進化が進行中であること、そして環境ストレスマーカーの割合の低さからマイクロバイオームの垂直伝搬が生じている可能性があることが示された。今回対象としたHungate 1000のゲノムリソースは、属レベルで、ルーメンに存在する細菌およびアーキアの約75%に相当するものと推定される。