Analysis
さまざまな条件、技術および種の単一細胞トランスクリプトームデータの統合
Nature Biotechnology 36, 5 doi: 10.1038/nbt.4096
コンピューターによる単一細胞RNA塩基配列解読法(scRNA-seq)は、単一の条件、技術、または種において、細胞の表現型を発見および規定する実験に問題なく応用されてきた。しかし、複数のデータセットにわたって存在する細胞亜集団を識別することは、依然として課題となっている。本論文では、変動の共通の起源に基づいてscRNA-seqデータセットを統合し、データセット間およびその後の比較解析間で共通する細胞集団の識別を可能とする解析方法を紹介する。この方法を、我々が開発したRツールキットSeurat(http://satijalab.org/seurat/)に組み込んで応用し、休止状態または刺激状態の末梢血単核細胞、2種類のプロファイリング技術を用いて塩基配列解読を行った造血前駆細胞、ならびにヒトとマウスの膵島から作製した膵臓細胞「アトラス」について、それぞれscRNA-seqデータセットのアラインメントを行った。いずれの場合も、データセット間に共通して個別の、または過渡的な細胞状態が明らかになる一方で、解析法の統合によって統計的検出力が向上した。この方法により、scRNA-seqデータセットの一般的な比較が容易になり、個別の細胞状態が変動、疾患、および進化にどう反応するのかに関する理解が深まる可能性がある。