Letter

CRISPR–Cas9が誘発する遺伝子の傷痕を用いて、系統追跡と細胞型識別を同時に行う

Nature Biotechnology 36, 5 doi: 10.1038/nbt.4124

発生生物学には、単一の細胞が多数のさまざまな細胞型からなる成熟した生命体に変化していく仕組みの解明という重要な目標がある。組織中または器官中の細胞型の識別には、一般に単一細胞RNA塩基配列解読法(scRNA-seq)が用いられる。しかし、得られた細胞型の分類結果から系統樹をまとめ上げて細胞の発生的起源を明らかにすることは、今なお困難である。本論文では、LINNAEUS(lineage tracing by nuclease-activated editing of ubiquitous sequences)という系統追跡法を紹介する。これは、数千個の単一細胞の系統追跡とトランスクリプトームのプロファイリングを同時に行う方法である。我々は、遺伝子組換えレポーター遺伝子のゲノム編集によって作製された系統バーコードのコンピューター解析をscRNA-seqと組み合わせることにより、ゼブラフィッシュの稚魚、ならびに成魚の心臓、肝臓、膵臓、および終脳の発生系統樹を再構築した。LINNAEUSは、新しい細胞型、または異なる条件下の既知の細胞型の起源を追跡する体系的な手法となる。

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