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酵母および細菌のハイスループット増殖条件のeVOLVERによる自動精密制御
Nature Biotechnology 36, 7 doi: 10.1038/nbt.4151
微生物細胞の増殖条件を精密に制御することができれば、わずかな表現型の変化が検出されるようになり、遺伝子型が適応選択によってどのように形成されるのかに関する理解が深まる可能性がある。バイオリアクターなどの自動細胞培養装置では液体培養条件が厳密に制御されるが、ハイスループットに拡張することができなかったり、増殖条件の改変に煩雑な再設計を必要としたりすることが多い。本論文では、拡張可能なDIY(do-it-yourself)型の機構であるeVOLVERの設計および検証の結果を示す。eVOLVERは、分子進化、システム生物学、および微生物学の分野でハイスループット増殖実験を実行するように設定することができる。異なる密度で増殖させた酵母集団のハイスループット進化から、eVOLVERが適応的ニッチの特性評価に応用可能であることが明らかになった。また、さまざまな時間スケールで変動する温度を用いた全ゲノム規模の酵母ノックアウトライブラリーの増殖選択では、温度変化または温度変化頻度に感受性を示す株が見いだされた。加えて、電子工学およびマイクロ流体工学の大規模集積化に着想を得た、多重的な培地ルーティング、クリーニング、バイアル間移動、および自動的な酵母交配を可能とするミリ流体工学的な多重化モジュールについても紹介する。