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半導体バイオチップによる感染性病原体の多重同定・定量・遺伝子型判定

Nature Biotechnology 36, 8 doi: 10.1038/nbt.4179

既存の抗菌剤に耐性を示す病原体の出現は、世界規模で拡大しつつある深刻な健康問題であり、抗生物質登場前の時代へ後退する脅威を突き付けている。抗生物質の過剰な使用を抑制するには、医療現場で臨床検体中の病原体を迅速に同定し、薬剤耐性をもたらす変異の有無を判定することができる分子診断法が必要である。我々は、多重の核酸増幅・塩基配列解析を行うための完全一体型の小型半導体バイオチップおよび閉管検出化学法を開発した。この方法は、微生物量の定量のダイナミックレンジが広く、2時間以内で同時に最大1000の配列(またはDNA鎖)の包括的変異解析を行うことができた。我々は、臨床検体中の複数のDNA型およびRNA型の呼吸器ウイルスを検出・定量し、市販の検査法と完全に一致する結果を得た。また、ヒト結核菌Mycobacterium tuberculosisの6つの遺伝子上に存在する薬剤耐性関連変異54カ所を見いだし、その全てが次世代塩基配列解読法で確認された。

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