Article
in vitroおよびin vivo試験用の遺伝子コード型アセチルコリン蛍光指示薬
Nature Biotechnology 36, 8 doi: 10.1038/nbt.4184
神経伝達物質アセチルコリン(ACh)は全身の多様な生理学的過程を制御する。そうした重要性にもかかわらず、大多数の組織や器官のコリン作動性伝達は主に、利用可能なAChモニタリング手法が限られているために理解が進んでいない。我々は、Gタンパク質共役受容体に基づく一群のAChセンサー(GACh)を開発した。このセンサーは感度、特異性、シグナルノイズ比、反応速度、および光安定性の面で、in vitroおよびin vivoでのAChシグナルのモニタリングに適している。GAChセンサーを、複数の動物種から得た十数種類のニューロンおよび非ニューロン細胞において、トランスフェクションやウイルス発現、トランスジェニック発現によって検証した。GAChセンサーは、全ての試料において外因性や内因性のAChに選択的に応答し、落射蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡、および二光子顕微鏡で検出されるロバストな蛍光シグナルを発した。さらに、内因性ACh放出の解析から、発火パターン依存的な放出および限定的な拡散性伝達が明らかになり、中枢のコリン作動性伝達に関する2つの長年の問題が解決された。GAChセンサーは、多様な生物学的過程の基礎となるコリン作動性伝達をモニタリングするための使いやすく応用範囲の広いツールとなる。