Letter

CRISPR–Cas9が誘発する二本鎖切断の修復は大規模な欠失や複雑な再配列をもたらす

Nature Biotechnology 36, 8 doi: 10.1038/nbt.4192

CRISPR–Cas9は、臨床の場面で選択される遺伝子編集ツールになりつつある。これまで、Cas9が誘発する遺伝子改変の探索は、標的部位と遠位オフターゲット配列のごく近傍に限定されており、その結果、CRISPR–Cas9はある程度特異的であるという結論が導かれていた。今回我々は、マウス胚性幹細胞、マウス造血前駆細胞、およびヒト分化細胞株の標的部位に、大規模な欠失やより複雑なゲノム再配列といった重大なオンターゲット変異が生じることを見いだした。ロングリード塩基配列解読法および長距離PCR遺伝子型判定法を用いることで、シングルガイドRNA/Cas9によって導入されたDNA切断が何千塩基にもわたる欠失となる場合が多いことが示された。さらに、切断部位から離れた部位での損傷および交差事象も発見された。CRISPR–Cas9編集法によって引き起こされる分裂活性の高い細胞で見られるゲノムの損傷は、発病という結果を生じる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度