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ヒト代謝疾患フェニルケトン尿症に対する人工生菌治療薬の開発
Nature Biotechnology 36, 9 doi: 10.1038/nbt.4222
フェニルケトン尿症(PKU)はフェニルアラニン(Phe)の代謝障害を特徴とする遺伝性疾患であり、神経毒性を生じる場合がある。我々は、タンパク質制限食の代替手段を得ることを目的として、大腸菌(Escherichia coli)Nissleの遺伝子操作を行って、哺乳類腸内の無酸素状態に応答してPhe代謝酵素をコードする遺伝子を発現するようにした。この組換え株SYNB1618をPahenu2/enu2 PKUマウスモデルに投与したところ、血中Phe濃度は対照と比べて38%低下し、これは食餌によるタンパク質摂取とは無関係であった。健康なカニクイザルでは、経口Phe負荷後の血清Pheの増加がSYNB1618によって阻害されることが明らかになった。マウスおよび霊長類において、PheはSYNB1618によってトランスケイ皮酸に変換され、さらに宿主による定量的な代謝で馬尿酸となって尿中に排出されており、これが株の活性を予測するバイオマーカーとなった。マウスまたは霊長類では、単回経口投与されたSYNB1618が糞便中に検出され、薬力学的特性の評価を行うことができた。これらの結果は、代謝疾患治療用生菌治療薬の臨床化戦略を明示している。