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腫瘍HLAペプチドの質量分析データセットを使ったディープラーニングがネオアンチゲンの同定を改善する
Nature Biotechnology 37, 1 doi: 10.1038/nbt.4313
腫瘍細胞上に発現するネオアンチゲンは、効果的な抗腫瘍T細胞応答の主要な標的の1つである。ネオアンチゲンを標的とするがん免疫療法への関心は高まりつつあり、初期段階の臨床試験が行われている。しかし、ネオアンチゲンを同定する方法は、侵襲的もしくは入手困難な臨床検体を必要とするか、数百から数千種類の合成ペプチドやタンデムミニ遺伝子のスクリーニングを必要とするか、さもなければ特定のヒト白血球抗原(HLA)アレルにしか有効ではない。我々は、さまざまなヒト腫瘍から得た大規模な(患者数74人)HLAペプチドおよびゲノムデータセットにディープラーニングを適用し、ネオアンチゲンを予測するための抗原提示のコンピューターモデルを構築した。EDGEと命名した我々のモデルは、HLA抗原予測の陽性的中率を最大9倍まで高めた。EDGEを適用することで、最も一般的なHLAアレルに関する通常の臨床検体および少数の合成ペプチドを用いたネオアンチゲンとネオアンチゲン反応性T細胞の同定が可能となった。EDGEは、ネオアンチゲンを標的とするがん患者向け免疫療法の開発能力を向上させると考えられる。