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Cas9が誘導する二本鎖切断の修復によって生じる変異を予測する
Nature Biotechnology 37, 1 doi: 10.1038/nbt.4317
CRISPR–Cas9で生じた二本鎖切断を細胞が修復することで生じるDNA変異は、その表現型効果を決定する。変異の結果はランダムではなく、標的部位のDNA塩基配列に依存することが知られている。今回我々は、合成構造体中の4万本以上のガイドRNA(gRNA)によって生じた編集の状況を評価することで、隣接DNA塩基配列が修復結果に与える影響を系統的に調べた。実験は、さまざまな遺伝的背景において、複数の異なるCRISPR–Cas9代替分子を用いて行った。合計で109を超える変異結果のデータが得られた。再現性の見られる変異の大多数は、1塩基の挿入、短い欠失、またはマイクロホモロジーによる比較的長い欠失であった。それぞれのgRNAには、個々の細胞系列に依存する特定の結果への偏りが見られた。我々は、生じた変異の配列決定要因を明らかにし、それを用いてCas9編集結果の予測ツールを得た。配列の修復に関する理解が進むことで、遺伝子編集の実験計画が改善されると考えられる。