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マウスで抗生物質耐性細菌を死滅させる安定した無毒のステープル抗菌ペプチドの設計
Nature Biotechnology 37, 10 doi: 10.1038/s41587-019-0222-z
陽イオン性αらせん抗菌ペプチド(antimicrobial peptide;AMP)の臨床応用は、構造の不安定性、タンパク質分解、および非特異的な膜破壊によるin vivo毒性によって妨げられてきた。疎水性成分および電荷分布の解析はin vitro溶血が抑制された強化型合成AMPの設計に寄与しているが、in vivoの非特異的膜毒性が依然としてAMP薬の開発を妨げている。今回我々は、マガイニンIIに基づく58種類のステープルAMP(StAMP)からなるライブラリーを分析し、構造、機能、および毒性の測定結果から得られた知見を利用して、安定でプロテアーゼに強く、強力で毒性のないStAMPのプロトタイプを設計するアルゴリズムを開発した。Mag(i+4)1,15(A9K,B21A,N22K,S23K)と命名したダブルステープル型のリードStAMPは、マウス腹膜炎敗血症モデルのコリスチン耐性Acinetobacter baumanniiなどの多剤耐性グラム陰性病原体を死滅させることができ、マウスの毒性試験で溶血および腎損傷が認められないことが示された。アミノ酸配列を入力するだけで、プレウロシジン、CAP18およびエスクレンチンの膜選択的StAMPがさらに得られ、この設計プラットフォームの一般化可能性が示された。