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過冷却がヒト肝臓の保存時間を延長する

Nature Biotechnology 37, 10 doi: 10.1038/s41587-019-0223-y

血管系の臓器は、数時間以上保存できないことが一因となり、移植用臓器が不足している。標準的な+4℃での低温保存で肝臓が保存可能な時間は12時間に満たない。我々は以前、–6℃での過冷却不凍保存によってラット肝臓の有効保存時間が延長されることを示した。しかし、体積に依存する確率論的な氷形成のため、過冷却保存のヒト臓器への応用には本質的な限界がある。本論文では、過冷却保存の改良版プロトコルを紹介する。これは、氷核が形成されやすい部位を最小化し、機械灌流中に保護剤を用いて均一なプレコンディショニングを行うことによって、ヒト肝臓の凍結を回避するものである。ヒト肝臓を過冷却によって–4℃で保存したのちに室温機械灌流(subnormothermic machine perfusion)を行うと、生体外での寿命は27時間まで延びることが明らかになった。肝臓の生存力は過冷却の前後で変化せず、過冷却を経た肝臓は、正常温度での生体外血液再灌流によって模擬移植のストレスに耐え得ることが示された。

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