Analysis

統合的ゲノムプロファイリングががん患者の臨床選択肢を広げる

Nature Biotechnology 37, 11 doi: 10.1038/s41587-019-0259-z

「腫瘍・正常組織ペア検体」のゲノム解析および臨床データを用いれば、患者とがん治療または臨床試験とのマッチングを行うことができる。我々は、DNA-seq、RNA-seqおよび免疫バイオマーカーによるTempus xTプラットフォームを用い、各種腫瘍の患者検体500点を分析した。腫瘍と生殖系列のデータセットを用いることで変異の発見は大きく改善され、偽陽性率が低下した。RNA-seqは遺伝子融合体の検出およびがんの分類を強化した。DNA-seqのみの場合、高いレベルのエビデンスまたは強力な試験によって支持される精密治療(precision therapy)にマッチングされた患者は29.6%であった。RNA-seqおよび免疫療法用バイオマーカーの結果を加えると、この比率は43.4%に上昇した。こうしたデータを臨床判定基準と組み合わせると、患者の76.8%はxTアッセイによって測定されたバイオマーカーに基づいて少なくとも1件の適切な臨床試験にマッチングされた。以上の結果から、多くのがん患者では大規模な分子プロファイリングを臨床データと組み合わせることによって個別化治療および臨床試験が見いだされること、そして腫瘍・正常組織ペア検体の分析にトランスクリプトーム塩基配列解読を追加する方法が腫瘍のみのDNAパネル検査よりも優れていることが示された。

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