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ゲノム編集によるイネ白葉枯病の広域抵抗性

Nature Biotechnology 37, 11 doi: 10.1038/s41587-019-0267-z

イネ白葉枯病はアジアおよびアフリカで重大な病害となっている。病原体のXanthomonas oryzae pv. oryzaeXoo)は既知の6種類の転写活性化因子様エフェクター(TALe)のうち1つ以上を分泌し、それが特定のプロモーター配列に結合して宿主の3種類のスクローストランスポーター遺伝子SWEET11SWEET13SWEET14のうち少なくとも1つを誘導する。罹病性には、そのスクローストランスポーター遺伝子の発現が必要となっている。我々はCRISPR–Cas9によるゲノム編集を利用して、3種類のSWEET遺伝子プロモーターの全てに変異を導入した。編集には63株のXooのTALe遺伝子の配列解析からさらに情報が得られ、SWEET13アレルに関して複数のTALe多様体が発見された。変異はSWEET14にも導入した。それは、アフリカのXoo系統の2種類のTALeも標的とする。イネ系統キタアケ、優良なメガ(広域栽培)品種IR64、Ciherang-Sub1に対し、合計5つのプロモーター変異を同時に導入した。圃場試験により、ゲノム編集したSWEETプロモーターが、各イネ系統に強力な広域抵抗性を与えることが示された。

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