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非反復的な超長鎖sgRNAアレイによる複数細菌遺伝子の同時抑制

Nature Biotechnology 37, 11 doi: 10.1038/s41587-019-0286-9

細胞の表現型を改変するには、多数の遺伝子の調節が必要となる場合が多い。CRISPR干渉を用いる場合、多数のシングルガイドRNA(sgRNA)の同時発現は、反復DNA配列が存在するために遺伝子の不安定性および表現型の喪失を生じる。我々は、非反復的な超長鎖sgRNAアレイ(ELSA)内の22個のsgRNAを安定的に共発現させ、最大13遺伝子を最高で3500分の1にまで同時に抑制した。そして、生物物理学的モデリング、生化学的特性評価、および機械学習を利用して、Cas9に結合するsgRNAのハンドル28個を含む非反復的な遺伝子パーツのツールボックスを開発した。さらに、DNA合成の複雑性、sgRNAの発現、sgRNAの標的化、および遺伝子の安定性を定量化するアルゴリズムのルールに従って非反復的な遺伝子パーツを組み合わせ、ELSAの設計を行った。ELSAを用いることによって大腸菌の高度に選択的な表現型を3種類作製し、代謝の方向転換によるコハク酸産生量の150倍の増加、アミノ酸生合成のノックダウンによる多重栄養要求株の作製、およびストレス応答の抑制による持続生残細胞形成の21分の1の減少を行った。ELSAは、代謝工学および合成生物学用途に利用される多数遺伝子の安定的同時調節を可能にする。

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