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可溶性の高いSleeping Beautyトランスポザーゼが遺伝子挿入の制御を改善する

Nature Biotechnology 37, 12 doi: 10.1038/s41587-019-0291-z

Sleeping Beauty(SB)トランスポゾン系はウイルスによらない哺乳類細胞の効率的遺伝子導入ツールであるが、DNAベクター由来のトランスポザーゼ遺伝子活性を制御することができずゲノム不安定性のリスクが生じること、トランスポザーゼタンパク質が直接使用できないことにより、普及が進んでいない。本研究では、高活性のSB100Xバリアントの結晶構造に基づく合理的なタンパク質設計を用いて、可溶性および安定性の高いSBトランスポサーゼ(high-solubility SB;hsSB)を作製した。hsSBはトランスポゾンDNAと共に導入されて細胞系譜ならびに胚性幹細胞、造血幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の遺伝子改変を行い、無秩序なトランスポサーゼ活性が克服されることが示された。hsSBを用いて作製したキメラ抗原受容体(CAR)T細胞は、in vitroおよび異種移植マウスで強力な抗腫瘍活性を示した。hsSBは自発的に細胞に浸透し、トランスフェクション試薬を用いないiPS細胞の改変およびCAR T細胞の作製を実現することが明らかになった。hsSBの量を調節してゲノム組み込み頻度を調節したところ、1ゲノム当たりの組み込みはわずか2回となった。

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