Letter
単一細胞のマルチオーム解析によって混合表現型急性白血病の調節プログラムを発見する
Nature Biotechnology 37, 12 doi: 10.1038/s41587-019-0332-7
ヒト疾患の原因の特定には、DNAの接近可能性、遺伝子の発現、タンパク質の量に広がる異常な分子表現型のデコンボリューションが必要である。本論文では、高度に多重化されたタンパク質定量、トランスクリプトームプロファイリング、クロマチン接近可能性解析を統合する単一細胞の枠組みを紹介する。この方法を利用して健康な血液発生に関する正常なエピジェネティクスの基準を定め、それを用いて混合表現型急性白血病患者の血液中の異常な分子的特徴のデコンボリューションを行った。患者コホートには幅広いエピジェネティクス的不均質性がみられたが、患者に共通する悪性のシグネチャーと共に、個々の患者の表現型区画の間で共通する患者特異的な調節の特性が認められた。トランスクリプトームとクロマチン接近可能性のマップを統合的に解析することにより、推定される9万1601組のピーク・遺伝子関係、マーカー遺伝子CD69に近接するRUNX1関連の調節エレメントなどの白血病特異的遺伝子を調節する転写因子が見いだされた。以上の結果は、正常な発生の枠組み内の統合的な単一細胞マルチオーム解析によって、患者検体から疾患に関する特別な分子機構と一般的な分子機構の両方が明らかにされることを示している。