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鉄輸送体およびフェリチンの発現操作による圃場栽培キャッサバの栄養成分強化
Nature Biotechnology 37, 2 doi: 10.1038/s41587-018-0002-1
西アフリカ人集団が主要作物であるキャッサバ(Manihot esculenta Crantz)の貯蔵根を摂食して得られる鉄および亜鉛は、推定平均必要量(EAR)の10%に満たない。我々は、遺伝子組換えによってキャッサバの無機微量栄養素濃度を強化した。プエルトリコの閉鎖圃場試験で、キャッサバにシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の液胞型鉄輸送体VIT1を過剰発現させると、組換え体の貯蔵根には非組換え体の対照の3~7倍の鉄が蓄積された。変異型のシロイヌナズナ鉄輸送体(IRT1)とシロイヌナズナフェリチン(FER1)を同時発現するように改変した植物は、非組換え体の対照と比較して7~18倍の鉄、および3~10倍の亜鉛が圃場で蓄積された。今回の圃場データにおいて、成長パラメーターと貯蔵根収量に、遺伝子組換えによる栄養成分強化の影響は認められなかった。調理された遺伝子組換えキャッサバの鉄および亜鉛の残留率とバイオアクセシビリティーを測定した結果、1~6歳児および授乳も妊娠もしていない西アフリカ女性が、EARの40~50%の鉄、およびEARの60~70%の亜鉛をIRT1+FER1植物から得られることが示された。