Review
自己免疫の抗原特異的治療法
Nature Biotechnology 37, 3 doi: 10.1038/s41587-019-0015-4
健康な状態における免疫系の主要な機能は、微生物感染および寄生虫感染から宿主を保護することである。非自己に対する免疫応答は自己に対する偶発的な免疫を発動するリスクがあるため、進化は免疫系に、制御性T細胞やB細胞などの中枢および末梢の耐性機構を与えた。慢性炎症の治療に関しては、過去20年で数多くの新規治療法の臨床化に成功してきたが、正常な免疫を損なうことなく抗原に基づいて自己免疫性炎症を選択的に抑制することができる手法の開発は、今なお実現していない。ペプチドや抗原全体を用いる従前の自己抗原特異的な手法は、クローン除去や免疫調節を促進することを意図した形で、抗原提示細胞を介して間接的に、または主要組織適合遺伝子複合体分子を介して直接的にこうした分子を自己反応性T細胞まで選択的に送達しようとする方法に進化した。このような方法の多くは、その疾患特異性、機構的基盤、開発可能性、および応用可能性がいまだ明らかになってない。