Analysis
複数の研究室にわたるHeLa細胞の異質性のマルチオーム評価
Nature Biotechnology 37, 3 doi: 10.1038/s41587-019-0037-y
生物学的多様性と技術的多様性は、どちらも研究の再現性を損ないかねないが、排除の焦点は概して後者に合わせられている。本研究では、システム規模の方法を用いてHeLa細胞株の生物学的多様性の影響を調べた。世界の13研究室から得たHeLa試料14株に関して、分子および表現型のばらつきの程度を評価した。同一条件で細胞を培養し、それぞれの細胞株でゲノム規模のコピー数、mRNA、タンパク質、およびタンパク質代謝回転速度のプロファイリングを行った。HeLa多様体間、特にCCL2株とKyoto株との間には高い異質性が見いだされ、50回以上継代培養した特定の細胞株には分岐の進行が認められた。ゲノムの多様性はトランスクリプトーム、プロテオーム、およびタンパク質代謝回転プロファイルに複雑で非線形的な影響を及ぼしており、プロテオタイプのパターンからは、サルモネラ属細菌感染に対する細胞株によって異なる表現型応答が説明された。今回の知見は、ヒト培養細胞から得られる研究結果の解釈および再現性に関して重要な意味を持つ。