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ヒト成体腎および尿に由来する個別化疾患モデリング用チューブロイド
Nature Biotechnology 37, 3 doi: 10.1038/s41587-019-0048-8
成体幹細胞由来のオルガノイドは、元の臓器の基礎的な諸相を再現する三次元上皮性構造物である。本論文では、初代腎管上皮オルガノイド「チューブロイド(tubuloid)」の長期増殖条件を示す。この培養物はヒトおよびマウスの腎組織から樹立され、正常な染色体数を保持しながら20回以上(6カ月超)継代培養することが可能である。また、この培養物はヒト尿からも樹立することができる。ヒトチューブロイドはネフロンの近位部分および遠位部分に相当することが、遺伝子発現、免疫蛍光法、および腎管機能解析によって示された。我々は、チューブロイドを用いて感染性腎疾患、悪性腎疾患、および遺伝性腎疾患を個人別にモデル化した。チューブロイドのBKウイルス感染は、in vivoの現象を再現した。チューブロイドはウィルムス腫瘍からも樹立された。嚢胞性繊維症患者の尿に由来する腎チューブロイドでは、治療の有効性のex vivo評価を行うことができた。最後に、マイクロ流体生体機能チップのプレート上で培養されたチューブロイドは管状構造をとり、能動的な(経)上皮輸送機能を示した。