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自己触媒転写物による環状RNAアプタマーの高効率細胞内発現

Nature Biotechnology 37, 6 doi: 10.1038/s41587-019-0090-6

RNAアプタマー、およびRNAアプタマーに基づく装置は、遺伝子にコードさせ細胞内で発現させることにより、細胞の機能を探ったり操作したりできる。しかし、RNAアプタマーは発現量が低く分解が速いため、哺乳動物細胞での有用性は限定的である。本論文では、RNAの迅速な環状化を行い、高い安定性と発現量でRNAアプタマーを生じるTornado(Twister-optimized RNA for durable overexpression;持続的過剰発現のためのツイスター最適化RNA)発現系について紹介する。Tornadoで発現する転写物は、その両側がツイスター型リボザイムで挟まれた目的のRNAを含む。このリボザイムは自己触媒的に速やかに切断され、偏在する内因性RNAリガーゼRtcBが結合する末端を生じる。この手法により、もともとは細胞内での作用が極めて弱かったタンパク質結合アプタマーが、細胞シグナル伝達の強力な阻害剤になった。また、S-アデノシルメチオニン(SAM)のRNA型蛍光代謝物バイオセンサーは、線状RNAとしての発現では低発現であるが、環状RNAとして発現させると、SAMの細胞内動態の検出に十分なレベルで発現した。このように、Tornado発現系はRNAに基づく手法の哺乳動物細胞での実用性を著しく高める。

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