Article
RNAの二次構造を改変してCRISPR系の特異性を高める
Nature Biotechnology 37, 6 doi: 10.1038/s41587-019-0095-1
CRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeat)系は、基礎科学、バイオテクノロジー、ならびに遺伝子療法や細胞療法で広く利用されてきた。CRISPR系の細菌ヌクレアーゼには、オフターゲット活性が認められる場合がある。これは、治療応用への潜在的な危険となり、生物学研究の結果を混乱させる可能性もある。そのため、こうしたヌクレアーゼの精度の向上は幅広い関心を集めている。今回我々は、スペーサー領域にヘアピン二次構造を持つシングルガイドRNA(hp-sgRNA)を作製し、それを各種CRISPRエフェクターと組み合わせると、特異性が数桁向上し得ることを明らかにした。我々はまず、設計したhp-sgRNAが、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)由来のCas9(SpCas9)に基づくトランス活性化因子の活性を調節する能力を持つことを実証した。次に、hp-sgRNAが5種類のCas9またはCas12aバリアントによる遺伝子編集の特異性を向上させることを示した。今回の結果から、RNAの二次構造は多様なCRISPR系の活性を調節できる重要なパラメーターであることが明らかになった。