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PS-ASO治療薬の化学修飾が細胞タンパク質結合を抑制して治療指数を改善する
Nature Biotechnology 37, 6 doi: 10.1038/s41587-019-0106-2
化学修飾されたホスホロチオエート型アンチセンスオリゴヌクレオチド(PS-ASO)の毒性の分子機構は十分に解明されていない。本論文では、拘束エチル(cEt)、架橋型核酸(LNA)、2′-O-メトキシエチル(2′-MOE)などの修飾を含む有害なギャップマー(gapmer)型PS-ASOが多くの細胞タンパク質と高いアビディティーで結合し、それらの機能、局在性、安定性を変化させることを明らかにする。我々は、PS-ASOの毒性の初期段階はパラスペックルタンパク質のRNase H1依存性の核小体移行であり、それに続いて核小体ストレス、p53の活性化、アポトーシス細胞死が起こることを明らかにした。ギャップ位置2に単一の2′-O -メチル(2′-OMe)修飾を導入すると、アンチセンス活性の低下が最小限でありながら、タンパク質結合は抑制され、肝毒性が大きく低下し、治療指数が大きく改善された。この修飾は、300種類以上の塩基配列でPS-ASOの毒性を概して緩和することが確認された。今回の知見は、最適な治療プロファイルを有するPS-ASOの設計に役立つと考えられる。