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DNA切断の低速化による遺伝子編集の特異性の強化

Nature Biotechnology 37, 8 doi: 10.1038/s41587-019-0186-z

人工ヌクレアーゼは、高効率なゲノム編集を行うことができるために広く注目されている。しかし、オフターゲット切断で変異が生じる危険性があって特異性には不安があり、特に治療への応用は懸念されている。今回我々は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)の特異性を改善する方法を考案した。それは、切断を減速させるためにFokI触媒ドメインを改変するものであり、親和性の低いオフターゲット部位の活性が選択的に低下すると考えられた。3組のZFNペアに関してFokIドメインの1残基置換を行ったところ、オンターゲット活性が完全に維持されていた一方で、オフターゲットのインデルには1/3000もの減少が認められた。この方法にジンクフィンガーの親和性を低下させる置換を組み合わせることにより、T細胞で98%のノックアウトを行い、約0.01%というアッセイバックグラウンドでオフターゲット活性が検出されないというTRAC座位特異的なZFNが得られた。この方法、および本論文のFokI多様体は、オフターゲット活性を示さずに遺伝子編集を行うヌクレアーゼの定型的な作製を可能にすることが期待される。

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