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ヒト胚性幹細胞由来の心外膜細胞は心筋細胞による心臓の再生を増強する

Nature Biotechnology 37, 8 doi: 10.1038/s41587-019-0197-9

心外膜およびその派生物は、発生中および成体の心臓を栄養的および構造的に支えている。今回我々は、ヒト胚性幹細胞(hESC)由来の心外膜に関して、in vitroで培養心臓組織の構造および機能を増強する能力、ならびに無胸腺ラットの梗塞を起こした心臓においてhESC由来の心筋細胞移植片の効果を高める能力を検討した。心外膜細胞は、ヒト培養心臓組織の収縮性、筋原繊維構造、およびカルシウムハンドリングを著明に強化する一方、間葉系間質細胞と比較して受動的剛性(passive stiffness)を抑制した。移植された心外膜細胞は、梗塞心臓で持続性の繊維芽細胞移植片を形成した。hESC由来の心外膜細胞と心筋細胞の同時移植は、in vivoで移植片心筋細胞の増殖率を2倍に高め、心臓移植片を2.6倍に大型化させて、移植片と宿主の血管新生を同時に強化した。特に、同時移植では、心筋細胞のみ、心外膜細胞のみ、または賦形剤のいずれを与えた心臓と比較しても、収縮機能が改善された。心外膜細胞は、心臓移植片を大型化させて機能を強化する能力を有しており、心臓修復のための有望な補助的治療手段となる。

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