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高分子安定化Cas9ナノ粒子および改変修復鋳型がゲノム編集効率を向上させる

Nature Biotechnology 38, 1 doi: 10.1038/s41587-019-0325-6

養子細胞療法の幅を広げるには、汎用的で厳密なゲノム改変法が必要となる。本論文では、臨床的に重要な初代細胞型でCRISPR–Cas9に基づくゲノム編集の効率を高める2つの改善を示す。相同組換え修復(HDR)鋳型の末端に付加した短縮型Cas9標的配列(truncated Cas9 target sequence;tCTS)は、Cas9リボ核タンパク質(RNP)と相互作用して鋳型を核へシャトル輸送し、HDRの効率を約2~4倍に高めた。さらに、Cas9 RNPをポリグルタミン酸でナノ粒子として安定化させると編集効率はさらに約2倍に向上し、毒性が低下して、活性を損なうことなく凍結乾燥保存することが可能となった。この2つの改善を組み合わせることで、遺伝子ターゲッティングの効率はHDR鋳型の量を減少させた場合でも向上し、バルク(CD3+)T細胞、CD8+ T細胞、CD4+ T細胞、制御性T細胞(Treg)、γδ T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、初代・人工多能性幹細胞由来の造血幹・前駆細胞(HSPC)といったさまざまな種類の細胞で、複数のゲノム座位を編集した生細胞の収量が約2~6倍に増加した。

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