Letter

メモリーが埋め込まれた材料を作製するためのDNA-of-thingsストレージ構造

Nature Biotechnology 38, 1 doi: 10.1038/s41587-019-0356-z

DNAストレージは情報密度が極めて高く、半減期も格別に長い。我々は、不変のメモリーを有する材料を製作するための「DNA-of-things(DoT)」ストレージ構造を考案した。DoTの枠組みではDNA分子にデータを記録し、その分子をナノメートルのシリカビーズに封入して、あらゆる形状の物体のプリントや成形に用いるさまざまな材料に融合させる。まず、自分の合成に必要な45 kBのデジタルDNA設計図を含有するスタンフォードバニーを、DoTによって3Dプリントした。そしてそのバニーを、追加のDNA合成も情報の劣化もなく、5世代にわたってそれぞれ先代のメモリーから合成した。DoTの拡張性を検証するために、プレキシガラス製眼鏡用レンズの中のDNAに1.4 MB分の動画を保存し、プレキシガラスの小片を切り出して埋め込まれていたDNAの塩基配列を解読することによってその動画を読み出した。DoTは、医療用埋植物への電子診療録の保存、日用品へのデータの秘匿(ステガノグラフィー)、およびそのもの自体の設計図を含有する物体の製作への応用が考えられる。自己複製する装置の開発が進む可能性もある。

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