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マイクロ流体のWNT勾配中でのヒト胚性幹細胞の分化による神経管発生モデルの構築

Nature Biotechnology 38, 11 doi: 10.1038/s41587-020-0525-0

ヒト脳の発生研究では、組織サンプルと適当なin vitroモデルが欠如していることが制約となっている。本研究では、マイクロ流体装置で培養したヒト胚性幹細胞を用いてヒトの初期神経管発生モデルを構築した。MiSTR(microfluidic-controlled stem cell regionalization;マイクロ流体で制御される幹細胞の領域化)と命名したこの方法では、発生パターン形成を模倣したシグナル伝達勾配に多能性幹細胞を投入する。WNT活性化勾配を用いることで、峡部オーガナイザーの特徴の形成を含む、前脳から中脳、後脳までの漸進的な尾側化を示す神経組織が得られた。単一細胞のトランスクリプトミクスから、体軸方向の組織が24時間の分化ですでに確立されていること、また吻側の細胞では48時間で神経特異的な転写プログラムの最初期のマーカーが出現していることが明らかになった。体軸方向の組織のトランスクリプトームの特徴は、マウス胚の初期の体軸方向神経板の遺伝子発現パターンを再現していた。これにより、MiSTRは体軸方向の神経管パターン形成の背後にある因子や過程の研究を促進すると考えられる。

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